女性の泌尿器科の病気
膀胱炎について
膀胱炎は女性に多い病気で、ほとんどは尿道から大腸菌をはじめとする細菌が入り込んで起こります。特に女性は尿道が短く、菌が膀胱に入りやすいので膀胱炎になりやすく、繰り返す方も多いようです。
症状:排尿痛、頻尿、排尿時の不快感、血尿など
治療方法は?
治療としては抗生物質や抗菌剤を投与すると8割はよくなります。数日薬を服用した後、自覚症状がなくなり、尿検査で菌が消失すれば内服薬を中止できます。以前は膀胱炎はどんな抗生物質を飲んでも効きましたが、最近は耐性菌が多く存在するため、細菌検査で薬剤感受性を見つつ薬を選択しないと、簡単に慢性化するようになりました。そういう意味でも泌尿器科での治療をお勧めいたします。
早くよくなるポイントと予防は?
まずは薬をきちんと飲み、水分をいつもよりたっぷりと取ってください。薬を飲むときはたっぷりの水で飲み、20~30分は横にならないようにします。症状を早く軽減させるためにも、薬はきちんと指示どおりに飲みましょう。普段より尿を我慢しない、水分を多く摂る、性交後は必ず排尿するなどの予防法が効果的です。
- 薬をきちんと飲む
- 水分を取る
- トイレを我慢しない
- 新陳代謝を高める(特に下半身の冷えなどに注意する)
- 刺激物(熱いもの、辛いもの、アルコールなど)は避ける
抗生物質で治りが悪い場合や頻繁に繰り返す場合は?
そのようなときは、漢方薬、アロマセラピー、リフレクソロジー、ツボ療法、エビデンスのある健康食品による代替医療もおすすめです。
たとえば、膀胱炎を慢性に繰り返す方、治療を行っているにもかかわらず症状に変化の見られない方などは、病気を治すことも大切ですが、まずは体を整えることも重要です。病気になりにくい心と身体をつくる、ご自分のヘルススキルを選択していきましょう。
- 漢方薬
- 猪苓湯、八味地黄丸、清心蓮子飲、竜胆瀉 など
- アロマセラピー
- サンダルウッド、ティートリー、ジュニパーなどの精油
- リフレクソロジー
- 足裏反射区:膀胱→腎臓→尿管→膀胱のポイントを指圧
- ツボ療法
- 気海・曲骨・中極・膀胱愈・三陰交など
- 健康食品
- クランベリージュース など
過活動膀胱について
過活動膀胱は、尿意切迫感を中心とする症候群として「切迫性尿失禁の有無にかかわらず、通常頻尿および夜間頻尿を伴う尿意切迫感で、感染や他の明らかな病的状態は除外する」と定義されています。
症状:
尿意切迫感(ふいに尿がしたくなって我慢するのがとてもつらい状態)、切迫性尿失禁(ふいに尿がしたくなってその高まりが急なためトイレに間に合わなくなってしまう状態)、頻尿(尿が近い)
過活動膀胱の原因は?
脳梗塞などによるものを除けば、原因のわからないものが多く、膀胱の筋肉はたらきとの関連性について研究が進んでいます。
症状による診断だけでは他の病気(膀胱がんや結石、膀胱炎)との見分けができないケースがあるので、症状にお困りの方や気になる方は泌尿器科の受診をおすすめします。
過活動膀胱の治療は?
主に内服薬で治療します。数種類の薬がありますので患者さんに合ったものを処方します。
また、膀胱トレーニングで排尿間隔を広げるようにもしていきます。尿意切迫感を感じても慌てずに深呼吸して、膀胱の収縮の波がおさまったところでトイレにいくようにしたり、骨盤底トレーニングでこらえるコツをつかみましょう。また下半身を冷やさないようにしたり、水分摂取バランス(摂らなすぎたり、摂りすぎたりしないよう)に気をつけましょう。
腹圧性尿失禁について
症状: くしゃみやせきをしたとき、重いものをもったとき、などお腹に力が入ったときに尿がもれる状態をいいます。
腹圧性尿失禁の原因は?
女性の正常な状態では、おなかに強い力(腹圧)がかかった場合、膀胱と尿道を支える筋肉(骨盤底筋)がバランスをとることで尿道がしまり、尿がもれるのを防いでいます。それが何らかの原因で働きが低下したり損傷して、膀胱や尿道が不安定になることが主な原因と言われ、加齢、出産、女性ホルモンの低下が関係しています。40歳以上の女性の8人に1人が腹圧性尿失禁の症状があると言われ、出産を経験した女性に多くみられる症状です。
腹圧性尿失禁の治療は?
骨盤底筋体操というトレーニングが治療の中心ですが、薬や手術で治療する場合あります。まずは症状の程度や他の病気の有無など確認するためにも、お困りの方や気になる方は泌尿器科の受診をおすすめします。
骨盤底筋体操をしよう!
くしゃみや咳、重い物を持ったときなど、つい漏れてしまう腹圧性尿失禁。トイレに行きたくなると、もうがまんできない切迫性尿失禁。「歳だから、おしっこのことだから・・・」とあきらめていませんか?骨盤底筋体操で、毎日を快適に過ごしましょう。家庭でも、外出先でもできる体操です。毎日続けて行いましょう。
- 1.仰向けの姿勢で
- まず仰向けに寝て、足を肩幅に開きます。
次に、ひざを少し立て、身体の力を抜き、肛門と膣を締めたままゆっくり「1、2、3・・・」と5つ数えます。
もし途中で力が抜けてしまったら、また締めなおします。体操を続けて筋肉が強くなれば、締め続けることができるようになります。仰向けはもっともリラックスしやすい姿勢です。また朝晩、布団の中で行えるので、ぜひ毎日続けてください。 - 2.机にもたれた姿勢で
- 机のそばに立ち、足を肩幅に開きます。
手も肩幅に広げ、机につけます。
その姿勢で、体重を全部腕にのせます。背中はまっすぐに伸ばし、頭を上げて前を見ます。肩とお腹の力を抜いて、肛門と膣を締めます。
骨盤底筋の動きをもっとも感じやすい姿勢です。台所のシンクやデスクを使っても行えます。 - 3.すわった姿勢で
- 床につけた足を肩幅に開き、背中をまっすぐに伸ばし、頭を上げて前を見ます。
肩の力を抜き、お腹が動かないように、またお腹に力がはいらないように気をつけながら、ゆっくり肛門と膣を締めます。
バスや電車にのっているときや、家でテレビを観ているときにも行えます。 - 4.ひじやひざをついた姿勢で
- 床にひざをつき、クッションの上に ひじを立てて手にあごをのせます。
次に、肛門を膣をゆっくり「1、2、 3・・・」と5つ数えます。
5つ数えたら力を抜き、また締めます。
新聞紙を床に広げて読むときなど、気軽にできる体操です。新聞を読み終わるまで、締めたりゆるめたりを繰り返しましょう。
骨盤底筋体操のめやす:
骨盤底筋体操のトレーニングの回数は、ひとりひとりの筋力の状態で異なります。医師やナースと相談して、自分に適した回数を決めてください。骨盤底筋の締まることを自覚できる方なら、速く締める(5回)・締めたままで3秒~5秒間保つ(5回)を1セットとして、1日10セットがめやすです。
1回に続けてがんばると疲れるので、できるだけこまめに分散して行います。
効果が現れるまで、少なくとも1ヵ月~3ヵ月はかかるので、あきらめずに続けましょう。
相生23クリニックでは女性の泌尿器科の病気についてもご相談をお受けしております。ご自分で判断せず、ご自分の状態を把握し、自身にあった治療を選択していくことが大切です。お気軽にご相談ください。